研究集会/令和5年度第3回日本酒学セミナー「日本酒文化研究のみちしるべ―日本酒学の時空を広げる―」を開催しました
2023年10月14日(土)、研究集会/令和5年度第3回日本酒学セミナー「日本酒文化研究のみちしるべ―日本酒学の時空を広げる―」(新潟大学日本酒学センター 主催、明星大学人文学部日本文化学科 共催)を開催しました。
今回のセミナーは、学内のみならず学外からも講師をお招きし、新潟大学医学部有壬記念館にて対面で開催しました。
会場の様子(新潟大学医学部有壬記念館)
冒頭には、企画を担当した畑有紀 新潟大学日本酒学センター 特任助教による趣旨説明「江戸の物語が描く日本酒文化」がありました。江戸時代の黄表紙研究を発端として、〈造り〉だけにとどまらない「日本酒の面白さや魅力、価値とは何か」という問いについて、〈歴史〉や〈伝統〉をキーワードに考える機会にしたい、と説明されました。
畑有紀 新潟大学日本酒学センター 特任助教
続いて、日本酒の〈歴史〉や〈伝統〉をめぐる研究をなさっている6名の先生にご講演いただきました。
石井公成 駒澤大学 名誉教授からは、「仏教と酒、良寛の酒」として、一般に酒は禁じられていたとされる仏教において、酒がどのように扱われてきたか、ご当地、越後の僧侶である良寛のお話も交えてご講演いただきました。
石井公成 駒澤大学 名誉教授
松永和浩 大阪大学適塾記念センター 准教授からは、「日本酒イノベーションを導いた室町社会」として、日本酒の「造り」の基礎が作られた室町時代、人々がどのように酒を飲み、その背景にはどのような社会が広がっていたのか、ご講演いただきました。
松永和浩 大阪大学適塾記念センター 准教授
芳澤元 明星大学人文学部 准教授からは、「中世寺社に探る日本酒テロワール」として、室町時代、酒の製造がさかんに行われていた寺院での酒の在り方について、ご当地、越後を始めとする地域性をふまえ、ご講演いただきました。
芳澤元 明星大学人文学部 准教授
岸保行 新潟大学経済科学部 准教授(日本酒学センター 副センター長)からは、「過去と現在(いま)を繋げる酒蔵研究」として、新潟清酒を表現するのに使われることのある「淡麗辛口」に焦点をあて、それがいかに生まれ、あるいは変容してきたのか、ご講演いただきました。
岸保行 新潟大学経済科学部 准教授(日本酒学センター 副センター長)
石塚千賀子 新潟大学経済科学部 准教授(日本酒学センター 協力教員)からは、「ラグジュアリー研究から見た日本酒の意味的価値」として、現在販売されている日本酒の事例を通じ、日本酒の価値がどのように生まれているか、ラグジュアリーという観点からご講演いただきました。
石塚千賀子 新潟大学経済科学部 准教授(日本酒学センター 協力教員)
以上のご講演の後、猪瀬千尋 金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系 准教授からコメントをいただきました。中世の音楽と酒との関わりを手掛かりに、先生方のご講演から浮かび上がった「日本酒の面白さや魅力、価値」についてお話しくださいました。
猪瀬千尋 金沢大学人間社会研究域歴史言語文化学系 准教授
そして最後に、芳澤元先生から閉会の辞を頂戴し、終了となりました。
「日本酒学セミナー」は、新潟大学教職員向けに、定期的に開催しているセミナーですが、今回は学外講師もお招きした特別開催とし、広く一般の皆様にもご参加いただけるよう企画しました。県内外から80名を超えるご参加があり、各ご講演後の質疑応答ではさまざまな意見が寄せられました。また、帰り際には「面白かった」、「勉強になった」、「長いと思っていたけど、あっという間だった」などの声が多く聞かれました。
なお、ご講演いただいた松永和浩先生が、現在挑戦中のクラウドファンディングの活動報告の中で、本セミナーについてご紹介くださっています。
https://readyfor.jp/projects/tekijuku3d/announcements/291600
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