2025年12月、『日本酒を読み解く―歴史・文化・技術（アジア遊学312）』（畑 有紀・芳澤 元編）が勉誠社より刊行されます（出版社ウェブサイトはこちら）。
本書は、2023年10月に開催した研究集会／令和5年度第3回日本酒学セミナー「日本酒文化研究のみちしるべ―日本酒学の時空を広げる―」（※）の登壇者を中心に、人文学・社会科学の多様な分野から日本酒研究に取り組む15名の研究者による論考を収録しています。

編者の一人である畑有紀 名城大学外国語学部 准教授（元・日本酒学センター 特任助教）は、本センター在職中にこの研究集会を企画・実施し、その成果を本書としてまとめました。執筆者には、岸保行 センター長をはじめ、協力教員の原直史 教授（人文学部）、石塚千賀子 准教授（経済科学部）など、日本酒学センターおよび大学院日本酒学プログラムに関わる複数の教員が参加しています。

本書では、「日本の酒の文化」とは何かという問いを軸に、歴史学、文学、経済学、経営学など、人文学・社会科学領域からのアプローチを通して、日本酒文化の広がりが論じられています。歴史・文化・技術など幅広い文脈から日本酒を読み解くことで、日本酒学の発展に寄与する内容となっており、同時に、日本酒学センターの研究活動と人的ネットワークが結晶した成果とも言えます。

出版社ウェブサイトのほか、全国の書店およびオンライン書店でお求めいただけます。
ぜひお手に取ってご覧ください。

※研究集会についてはこちらをご参照ください。

■ 目次

「日本の酒の文化」を問う　畑有紀

第1部　酒の歴史的・文化的受容
『源氏物語』の酒―酔いのまぎれと「もののまぎれ」　石井公成
宮中儀礼における酒と音楽―『古今著聞集』『平家物語』『うつほ物語』にみる酒宴と歌謡　猪瀬千尋
室町社会が導いた日本酒イノベーション　松永和浩
室町・戦国期の京都における「田舎酒」の入手方法と価値　酒匂由紀子
中世北陸・越後の酒造―白山系地域寺社の展開と醸造　芳澤元
黄表紙に見る酒の知識とイメージ―十返舎一九『福徳三年酒』を例として　畑有紀

第2部　酒の技術革新と近代化
近世越後における町方酒屋と在方酒屋―村上城下町とその周辺　原直史
幕末期上方酒造業経営と宮水　大浦和也
明治・大正期以降の酒造労働と技術普及　堀圭介
日本酒・焼酎の近代化と海外技術文化の受容　佐藤淳

第3部　酒の地域資源化と国際展開
新潟清酒における「淡麗辛口」の制度化と地域アイデンティティの形成―地域記号の誕生とその揺らぎを越えて　岸保行
「古代酒」を手がかりにした文化財の普及啓発活動　庄田慎矢
日本酒とラグジュアリー　石塚千賀子
フランスにおける日本酒文化の軌跡探究　川本美希
日本酒の評価・鑑賞の言葉　福島宙輝

〝日本酒史学〞の愉悦―あとがきにかえて　芳澤元

勉誠社ウェブサイトより引用